kainushi

kainushiは言う、kaiinuは意味不明だから躾をここでやめよう

昼まではきのこだらけの国道を歩くむすこがこわした家族

市・区・町・村をくぎる屍体のふくらはぎ 歴史の歴史の歴史の歴史

だいだいのひかりをあびてふくらんだしろい肺魚が地図を覚える

葬儀屋に黒豹の像置くなよ、と悪態をつきねむってしまう

川沿いの教団ビルでかもしかの剥製がぬすまれてる二月

武装した西瓜農家がねむっててその頂上に墓地がある山

年表をなぞるみたいな小説を読み終わったら働きに行く

兄弟が沖になげたら気が狂うくらい光ったあとにしずんだ

雷に興味をしめすどうぶつのはらに滲んでいる青い線

人々がゆでられている国道にごきぶりみたいな月をなげこむ

二の腕が白い子供をアメリカにさらう インターチェンジがみえる

きみどりのくすり失くした子みたいに帽子をさがすゆびがしびれる

となりには弓矢を運ぶひとがいて、病気と、それとべつのはらはら

死ぬまでをだれもしらない半島でなにもしらない人と暮らした

おくゆきをグレーの霧が封鎖する かがみどうろが盗品うつす

ほんとうのはつかねずみは歯がなくてはねがはえてて、上皇が死ぬ

木道のまるい手すりのうらがわで蝶を虐殺するしろい点